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馬上で自分の注意はどこを向いているでしょう。ある人は、良く指摘される「踵が上がる」という癖を修正しようと躍起かもしれません。ある人は自馬の後肢の踏み込みの悪さを改善しようと四苦八苦しているかもしれません。
今回はこれら注意の内容が及ぼす影響に関して書いていきます。
内的注意と外的注意
運動遂行中の注意の向け方が運動パフォーマンスや運動学習に及ぼす影響に関してこれまで多くの研究が行われてきました。そのなかでWulfらが行った一連の研究では注意を向ける対象の違いにより以下のように注意を二つに分けて、それらが運動学習に及ぼす影響の比較を行っています。
内的注意:自身の身体への注意
外的注意:身体外部への注意
例えばボールを投げるとき、ボールを持つ手の動きに注意を向けていればそれは内的注意、ボールの軌道に注意を向けていればそれは外的注意となります。
彼女らの研究では運動学習の促進、その後の運動能力の保持の両方において外的注意が優れているという結果が多く示されています。
これは内的注意により本来は自動的に生成されるはずの運動を阻害してしまうためと考えられています。
初心者こそ馬の動きに意識を向けてみては
乗り始めの初心者は自分の姿勢に関して号令者から指摘され、それを直そうと内的注意をしがちです。しかし、それによって運動学習を阻害してしまうかもしれません。自分の欠点の認識は必要ですが、そこからいったん意識を離して馬の動きに注意を向けることが結果的に上達につながるかもしれません。
また、号令者も外からみえる騎乗者の欠点を指摘しがちですが、騎乗者の注意が馬の動きに向くよう誘導することも上達を促すうえで大事になってくるかもしれません。
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